法人の解散手続きの流れについて
ここ最近、法人解散のご相談が何件かありました。政策の影響もあるのでしょうか?
正直なところ、法人解散について行政書士ができることは限られますが、手続きの流れを説明したり、議事録等の書類作成をご協力できます。さらに、連絡窓口として、司法書士先生、税理士先生と連携し、最後までサポートさせて頂いております。
会社の運営を一時的にストップし、将来は再開するかもしれない場合、休眠手続きを選択するのもありですが、休眠している間、原則、法人住民税の均等割が課税され、毎年の税務申告も欠かさずに行わなければなりません。
もう会社をやめて、事業を再開する予定もない場合、しっかり解散手続きを行いましょう。
では、具体的に何をすればよいか、その流れを簡単にご案内いたします。
①株主総会にて解散決議
臨時株主総会を開き、特別決議にて、解散日を決定し、清算人を選任します。
清算人は代表者が就任するのは一般的ですが、会社関係者以外の方を選任するのも可能です。
総会議事録、清算人の就任承諾等を作成し、会社実印や個人実印を押印します。
②法人解散・清算人選任の登記
登記関係書類を収集・作成し、清算人が、もしくは司法書士等有資格者に委任し、法務局にて登記手続きを申請します。
登記申請の添付書類は、以下の通りとなります。
・定款
・ 株主総会議事録
・株主リスト
・就任承諾書(清算人・代表清算人)
・委任状(代理の場合)
なお、清算人は個人の印鑑登録証明書もご用意しておきましょう。
※解散の日から2週間以内に、管轄の法務局にて登記をしなければならない
③各機関への解散の届出
解散の登記が完了したら、すみやかに以下の各関係機関に必要書類を提出します。
| 関係機関 | 必要書類 |
| 税務署 | 異動届出書登記事項証明書 |
| 都道府県税事務所 | |
| 市区町村役場 | |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届 |
| ハローワーク | 雇用保険適用事業所廃止届 |
| 労働基準監督署 | 労働保険保険関係成立届 |
④財産目録及び貸借対照表の作成
清算人が就任後遅滞なく、会社の財産を調査し、資産目録及び貸借対照表を作成します。作成したこれらの書類は、原則、株主総会の承認後、会社に保管しておきます。
⑤債権者保護手続き
会社の債権者に対し、会社の解散を知らせ、会社に対して売掛債権や貸付金等がある人に、債権回収の機会を設けることです。
清算人が「官報公告」において債権者に会社の解散を知らせ、2ヶ月以上の一定期間内に申し出るよう呼びかけます。また、官報公告以外に、会社が把握できている債権者に対して個別の催告をしなければなりません。
※官報公告の掲載は別途費用がかかり、費用は行数によって変動する
⑥解散時の確定申告書の提出
事業年度開始の日から解散の日までの期間について、確定申告を行い、税務署に確定申告書を提出します。提出期限は、解散の日の翌日から2ヶ月以内です。
確定申告の手続きは、顧問税理士に依頼するのは一般的です。
⑦資産の現金化、債務弁済、残余財産の確定及び分配
債権者保護手続きの期間が経過し、すべての債務を弁済した後、残った財産があればそれを確定し、株主に分配します。
残余財産の分配は原則として株主の持株数に応じて行われますが、定款に特別の定めがある場合はそれに従います。
⑧清算確定申告書の提出
残余財産が確定後、税務署へ「清算確定申告書」を提出します。精算確定申告は解散後の清算手続きについての税務申告のことで、残余財産確定の翌日から1ヶ月以内に行わなければなりません。
⑨決算報告書の作成及び承認
清算人が清算事務の完了後、遅滞なく決算報告書を作成し、株主総会にてその承認を受けなければなりません。
株主総会で承認を得ることにより、清算事務は実質的に終了し、次のステップである清算結了登記に進むことが可能です。
⑩清算結了の登記
株主総会で清算事務報告の承認を受けてから2週間以内に、法務局にて清算結了の登記申請を行います。
解散登記時と同じく、清算人が自ら行うか、司法書士等に依頼します。
登記申請の添付書類は、以下の通りとなります。
・株主総会議事録
・株主リスト
・清算事務報告書
・委任状(代理の場合)
⑪各機関への清算結了の届出
清算結了の登記完了後遅滞なく、税務署・都道府県税事務所・市区町村役場等へ清算結了の届出を行います。
提出書類は、異動届出書および清算結了の登記事項証明書です。
以上のステップを問題なく遂行できたら、ようやく法人解散の手続きを完了します。前述の通り、官報の公告期間が2ヶ月以上と定められているため、手続き全体は少なくとも2ヶ月以上かかります。実務上、税務申告・債権債務の清算等もあるので、事業規模が大きければ大きいほど、期間は長くなるのでしょう。
事業を行っていない会社を放置すると、売り上げがなくても税金がかかります。事業を再開する意思がなければ、解散手続きを行ったほうが良いのではないでしょうか。解散から清算完了まで、さまざまな複雑な手続が必要で、時間も費用もかかります。事前に専門家に相談し、スケジュール感や費用の見積もりを把握しておきましょう。

